リファレンス・マニュアル
著作権
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このガイドの中のすべての商標は、正当な所有者に帰属します。
貢献者
Jean-Pierre Charras, Fabrizio Tappero.
翻訳
Asuki Kono <asukiaaa AT gmail.com>, 2018. starfort <starfort AT nifty.com>, 2017-2019. Norio Suzuki <nosuzuki AT postcard.st>, 2015. yoneken <yoneken AT kicad.jp>, 2011-2015. silvermoon <silvermoon AT kicad.jp>, 2011-2015.
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KiCad のドキュメントについて : https://gitlab.com/kicad/services/kicad-doc/issues
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KiCad ソフトウェアについて : https://gitlab.com/kicad/code/kicad/issues
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KiCad ソフトウェアの翻訳について : https://gitlab.com/kicad/code/kicad-i18n/issues
発行日とバージョン
2015年5月21日
イントロダクション
KiCad
KiCadは回路図とPCBアートワーク作成のためのオープン・ソース・ソフトウェアです。KiCad は、以下の統一された外観のツール群がエレガントに調和しています。
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KiCad: プロジェクト・マネージャー
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Eeschema: 回路図エディターとコンポーネント・ライブラリー・エディター
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Pcbnew: 回路基板レイアウト・エディターとフットプリント・エディター
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GerbView: ガーバー・ビューア
さらに3つのユーティリティが含まれます:
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Bitmap2Component: ロゴ用のコンポーネント作成。ビットマップ画像から回路図コンポーネントとフットプリントを作成します。
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PCBCalculator: レギュレーターの分圧抵抗や電流に対する配線幅、伝送線路などの計算機
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Pl_Editor: 図枠の編集
これらのツールは通常プロジェクト・マネージャーから起動されますが、独立したツールとして実行することもできます。
KiCadは基板サイズに制限はなく、最大32層までの配線層と14層のテクニカル層、4層の補助層を扱えます。
KiCadはプリント基板作成に必要なすべてのファイルを作成できます。含まれるものは:
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フォトプロッタ用ガーバー・ファイル
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穴あけファイル
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部品配置ファイル
KiCadはGPLライセンスに基づくオープン・ソースのため、オープン・ソース志向の電子機器作成プロジェクトに理想的なツールです。
KiCadはLinux、WindowsとApple macOSで使用できます。
KiCadのファイルとフォルダ
KiCadは特定の拡張子を持ったファイル(とフォルダ)を回路図と基板の編集に使用します。
プロジェクト・マネージャー・ファイル:
*.pro |
現在のプロジェクトに関連するいくつかのパラメーターと、コンポーネント・ライブラリー・リストを保存する小さなファイル。 |
回路図エディター:
*.sch |
回路図ファイル。ただし使用しているコンポーネント自身の情報は含まない。 |
*.lib |
コンポーネント・ライブラリー・ファイル。各コンポーネントの情報(コンポーネント記号、ピンとフィールド情報)を含む。 |
*.dcm |
コンポーネントライブラリーの説明ドキュメント。 各コンポーネントに対するコメント、キーワード、データシートへの参照。 |
*_cache.lib |
コンポーネントライブラリーのキャッシュファイル。回路図で使用しているコンポーネントのコピーを保存する。 |
sym-lib-table |
シンボル・ライブラリーのリスト。(シンボル・ライブラリー・テーブル): 回路図エディターで読み込まれるシンボル・ライブラリーのリスト。 |
基板エディターのファイルとフォルダ:
*.kicad_pcb |
図枠以外のすべての基板情報を含む基板ファイル。 |
*.pretty |
フットプリント・ライブラリー・フォルダー。フォルダー自体がライブラリーになっています。 |
*.kicad_mod |
フットプリント・ファイル。それぞれが一つのフットプリントの記述を含んでいます。 |
*.brd |
古いフォーマットの基板ファイル。 現在の基板エディターでも読み込み可能ですが、書き込みはできません。 |
*.mod |
古いフォーマットのフットプリント・ライブラリー。 フットプリント・エディターと基板エディターで読み込み可能ですが、書き込みはできません。 |
fp-lib-table |
フットプリント・ライブラリーのリスト (フットプリント・ライブラリー・テーブル): 基板エディターやフットプリント・エディター、CvPcbで読み込まれるフットプリント・ライブラリーのリスト。含まれるフットプリント・ライブラリーには、様々なフォーマットのライブラリーを指定できます。 |
共通ファイル:
*.kicad_wks |
独自の外観を持ったワークシートを使用したいユーザー向けの 図枠設定ファイル。 |
*.net |
回路図エディターが作成するネットリスト・ファイル。基板エディターは このファイルを読み込みます。 このファイルは、コンポーネントとフットプリントの対応を別ファイルにしておきたい ユーザー向けに .cmpファイルと関連付けられています。 |
スペシャル・ファイル:
*.cmp |
回路図で使用しているコンポーネントとフットプリントの対応を保存しています。 Pcbnew がこのファイルを作成し、Eeschema が取り込みます。 例えば Pcbnew 上で フットプリントを変更 コマンドでフットプリントを変更した とします。この変更を回路図に反映するため Eeschema で読み込みます。 |
その他のファイル:
次のファイルは製造や文書化のためにKiCadが作成します。
*.gbr |
ガーバー・ファイル、製造用 |
*.drl |
ドリル・ファイル(Excellon形式)、製造用 |
*.pos |
ポジション・ファイル(アスキー形式)、自動部品挿入用 |
*.rpt |
レポート・ファイル(アスキー形式)、文書化用 |
*.ps |
プロット・ファイル(postscript)、文書化用 |
プロット・ファイル(pdf形式)、文書化用 |
|
*.svg |
プロット・ファイル(svg形式)、文書化用 |
*.dxf |
プロット・ファイル(dxf形式)、文書化用 |
*.plt |
プロット・ファイル(HPGL形式)、文書化用 |
インストールと設定
ディスプレイ選択
Pcbnew と Gerbview はハードウェアで加速されたレンダラーを利用しているため、 OpenGL v2.1 以上をサポートするビデオ・カードが必要です。
デフォルト設定の初期化
kicad/template にある kicad.pro がデフォルト設定ファイルです。 このファイルは新規プロジェクトのテンプレートとして提供され、Eeschemaがロードするライブラリー・ファイルのリストを設定するために使用されます。 Pcbnew に関する他のパラメーター(デフォルトのテキスト・サイズ、デフォルトの伝送線路の太さ、など)もここに保持されます。
別のデフォルト設定ファイル fp-lib-table が存在することがあります。これはフットプリント・ライブラリー・リストを作成するために一度だけ使用されます; さもなければ、このリストはゼロから作成されるでしょう。
デフォルト設定の変更
デフォルトの kicad.pro ファイルは、必要であれば自由に変更できます。
kicad/template/kicad.proへの書き込み権限があることを確認して下さい。
KiCadを起動して kicad.pro プロジェクトを読み込みます。
KiCad マネージャーから Eeschema を起動します。新しいプロジェクトを作るときに使いたいライブラリーのリストを設定するため Eeschema の設定を変更します。
KiCad マネージャーから Pcbnew を起動します。フットプリント・ライブラリー・リストなど Pcbnew の設定を変更します。Pcbnew は、 フットプリント・ライブラリー・テーブル というライブラリー・リスト・ファイルを作成または更新します。 二箇所に (fp-lib-table という名前の) ライブラリー・ファイルがあります: ホーム・ディレクトリーにある fp-lib-table ファイルは、すべてのプロジェクトで使用されます。そしてプロジェクトのディレクトリーにもある場合は、そのプロジェクト専用で使われます。
パスの設定
環境変数 を使って KiCad が使うパスを定義できます。いくつかの環境変数は KiCad 自身によって内部で設定され、使用するライブラリーや 3D シェイプなどへのパスを指定するために使われます。
これは、(プロジェクトを別のコンピュータに送るときなど)絶対パスを事前に決められなかったり変更の可能性がある場合、また一つのベース・パスを多くの同様なアイテムで共有するような場合に役立ちます。いろいろな場所へインストールされる以下のものについて考慮してください:
-
Eeschema コンポーネント・ライブラリー
-
Pcbnew フットプリント・ライブラリー
-
フットプリントの定義で使用される 3D シェイプ・ファイル
例えば、フットプリント・ライブラリー connect.pretty へのパスは、環境変数 KISYSMOD を使って定義すると、${KISYSMOD}/connect.pretty となるでしょう。
このオプションは、環境変数でパスを定義したり、もし必要ならば個別にパス定義するためにユーザー自身の環境変数を追加することができます。
KiCad 環境変数:
KICAD_PTEMPLATES |
プロジェクトの作成で使用されるテンプレート。(バージョン 5.0.0-rc2 以降は非推奨、 代わりに KICAD_TEMPLATE_DIR を使用のこと) この変数を使用する場合は、ユーザー定義が必要です。 |
KICAD_SYMBOL_DIR |
シンボル・ライブラリーのベース・パス。 |
KIGITHUB |
フットプリント・ライブラリー・テーブルでよく使用されます。 この変数を使用する場合は、ユーザー定義が必要です。 |
KISYS3DMOD |
3D シェイプ・ファイルのベース・パス。 通常は絶対パスを使用しないので定義する必要があります。 |
KISYSMOD |
フットプリント・ライブラリー・フォルダのベース・パス。 フットプリント・ライブラリーの名前に絶対パスを使用しない場合は定義する必要があります。 |
KICAD_TEMPLATE_DIR |
KiCad によってインストールされたテンプレートの位置。 |
KICAD_USER_TEMPLATE_DIR |
ユーザー テンプレートの位置。 |
環境変数 KIPRJMOD は 常に KiCad によって内部的に定義され、現在のプロジェクトの絶対パス であることに注意して下さい。
例えば、${KIPRJMOD}/connect.pretty は常に 現在のプロジェクト・フォルダー 内にある connect.pretty フォルダー (pretty フットプリント・ライブラリー) です。
パスの設定を変更した場合は、パスに関連する問題を避けるために 一旦 KiCad を終了して再起動してください。
外部ユーティリティの初期化
お気に入りのテキスト・エディターや PDF ビューアを定義できます。これらの設定は、テキストや PDF ファイルを開く際に利用されます。
これらの設定は、設定メニューからアクセスできます:
テキスト・エディターの選択
現在のプロジェクトにあるファイルをテキスト・エディターで閲覧・編集する前に、使用するテキスト・エディターを選択しておく必要があります。
使用したいテキスト・エディターを設定するには、設定 → テキスト・エディターを設定 を選びます。
PDF ビューアの選択
デフォルトの PDF ビューアまたはユーザーが指定した PDF ビューアを使用できます。
デフォルトの PDF ビューアから変更するには、PDF ビューア・プログラムを指定するために 設定 → PDF ビューア → PDF ビューアを設定 を使用し、それから 設定 → PDF ビューア → お気に入りの PDF ビューア を選択します。
Linux ではデフォルトの PDF ビューアは脆弱であることが知られています。そのため、あなた自身で PDF ビューアを指定することを推奨します。
新規プロジェクトの作成
回路図ファイル、プリント基板ファイル, 補助ライブラリー、 製造に使う各種ファイル (フォト・トレース、ドリルおよび自動部品配置のファイル) からなる KiCad プロジェクトを管理するためには、次のようにプロジェクトを作成することを推奨します:
-
プロジェクトの作業ディレクトリーを作成する。 ディレクトリーの作成は、KiCadまたは通常の方法を使用する。
-
このディレクトリーに、"新規プロジェクト作成"または "テンプレートから新規プロジェクトを作成"のアイコンから、 KiCadで利用するプロジェクト・ファイル(.pro 拡張子)を作成します。
KiCad プロジェクト毎にユニークなディレクトリーを使用する。単一のディレクトリーに複数のプロジェクトを混ぜないで下さい。 |
KiCad は、プロジェクト管理のためのパラメーター (回路図で使用されるライブラリーのリストなど) が多数記録されている拡張子が .pro というファイルを作成します。プロジェクトの名前は、メインの回路図ファイル名、プリント基板のファイル名に使用されます。例えば example.pro というプロジェクトが example ディレクトリーに作成されたとすると、デフォルトのファイルは次のように作られます:
example.pro |
プロジェクト管理ファイル。 |
example.sch |
メインの回路図ファイル。 |
example.kicad_pcb |
プリント基板ファイル。 |
example.net |
ネットリスト・ファイル。 |
example.* |
他のユーティリティ・プログラムによって作成される各種ファイル。 |
example-cache.lib |
回路図エディターが自動的に作成するライブラリー・ファイル。 (回路図に使用されているコンポーネントをバックアップとして保存) |
プロジェクトのインポート
他のソフトウェアで作られたファイルを KiCad にインポートできます。いまのところ、 Eagle 6.x 以上で作られた XML フォーマットのファイルのみに対応しています。
プロジェクトをインポートするために、インポートのためのファイル選択ダイアログから回路図か基板のファイルのどちらかを選択します。インポートする回路図と基板のファイルは同じベース名(例: project.sch と project.brd)である必要があります。ファイルを選択したら、インポート後に KiCad プロジェクトとして扱われるファイルの保存先ディレクトリーを選択します。
KiCad マネージャーの使用方法
KiCad マネージャー (kicad または kicad.exe) は、デザインに必要な他のツール (エディターやガーバー・ビューア、その他ユーティリティ) を簡単に起動するツールです。
ツールをKiCadマネージャーから起動することには、利点がいくつかあります:
-
回路図エディターと基板エディター間での連携
-
回路図エディターとフットプリント選択ツール(CvPcb)間での連携
しかしながら、編集できるのは現在のプロジェクトのファイルのみです。これらのツールを スタンド・アローン ・モードで実行すると、プロジェクトに関係なく全てのファイルを開くことができますが、ツール間での連携は正しく機能しません。
プロジェクト・マネージャー・ウィンドウ:
KiCad のメイン・ウィンドウは、プロジェクト・ツリー・ビューおよび、様々なソフトウェア·ツールを起動するボタンのある起動ペイン、そしてメッセージ·ウィンドウで構成されています。メニューとツールバーは、プロジェクト・ファイルの作成、読み込みと保存に使用します。
ユーティリティ起動ペイン
KiCad の全てのソフトウェア·ツールは、スタンドアローンでも実行できます。
起動ペインには、次のコマンドに対応する8つのボタン(左から右の順に1から8)があります。
1 |
Eeschema |
回路図エディター。 |
2 |
LibEdit |
コンポーネント・エディターとコンポーネント・ライブラリー・マネージャー。 |
3 |
Pcbnew |
プリント基板エディター。 |
4 |
FootprintEditor |
フットプリント・エディターとフットプリント・ライブラリー・マネージャー。 |
5 |
Gerbview |
ガーバー・ファイル・ビューア。 ドリル・ファイルも閲覧可能。 |
6 |
Bitmap2component |
白黒のビットマップ画像からロゴ用の フットプリントとコンポーネントを作成するツール。 |
7 |
PCB Calculator |
線幅などの計算ツール。 |
8 |
Pl Editor |
図枠の作成とカスタマイズをするエディター。 |
プロジェクト・ツリー・ビュー
回路図ファイルをダブル・クリックすると回路図エディターが起動し、この例では pic_programmer.sch というファイルを開きます。
基板ファイルをダブル・クリックするとプリント基板エディターが起動し、この例では pic_programmer.kicad_pcb というファイルを開きます。
プロジェクトツリーのファイル上で右クリックをすると削除など一般的などファイル操作を行えます。
トップ・ツールバー
KiCad のトップ・ツールバーからは、次の基本的なファイル操作を行えます。
新規プロジェクト・ファイルの作成。kicad/template にテンプレート kicad.pro がある場合は、作業ディレクトリーにコピーされます。 |
|
テンプレートからプロジェクトを作成。 |
|
既存のプロジェクトを開く。 |
|
現在のプロジェクトツリーを保存。 |
|
プロジェクト全体のzipアーカイブを作成。回路図やライブラリー、 プリント基板などがzipアーカイブにまとめられます。 |
|
プロジェクト・ツリーの再構成と再表示。ツリーを変更した場合に必要になることがあります。 |
プロジェクト・テンプレート
テンプレートを使うことで、あらかじめ設定が定義された新規プロジェクトを作成できます。テンプレートは、事前に定義された基板外形、コネクタ位置、回路要素、設計ルールなどを含んでいます。新規プロジェクト用ファイルの派生元として使われる完全な回路図や基板を含めることも可能です。
テンプレートの使用
ファイル → 新規プロジェクト → テンプレートから新規プロジェクトを作成 とメニューをたどって、プロジェクト・テンプレートの選択ダイアログを開きます:
テンプレート・アイコンのシングル・クリックでテンプレートの情報が表示され、更に OK ボタンをクリックすると新しいプロジェクトが作成されます。テンプレート・ファイルは新規プロジェクトの場所へコピーされ、新しいプロジェクトの名前を反映したものへとリネームされます。
テンプレートを選択すると:
テンプレートが置かれる場所:
KiCad はこれらパスのテンプレートを読み込みます:
-
環境変数 KICAD_USER_TEMPLATE_DIR に定義されたパス
-
環境変数 KICAD_TEMPLATE_DIR に定義されたパス
-
システム・テンプレート: <kicad bin dir>/../share/kicad/template/
-
ユーザー・テンプレート:
-
Unix: ~/kicad/templates/
-
Windows: C:\Documents and Settings\username\My Documents\kicad\templates
-
Mac: ~/Documents/kicad/templates/
-
-
環境変数 KICAD_PTEMPLATES が定義されている場合は、第3のタブ、ポータブル テンプレートがあります。このタブには、KICAD_PTEMPLATES パスで見つかったテンプレートのリストが表示されます。(廃止予定)
テンプレートの作成
テンプレートの名前は、テンプレート・ファイルが保存されているディレクトリーの名前です。meta という名前のサブ・ディレクトリー内にあるメタデータ・ディレクトリーは、テンプレート情報ファイルを含んでいます。
テンプレートからプロジェクトを作成すると、meta を除く、テンプレートにある全てのファイルとディレクトリーは新規プロジェクトのパスにコピーされます。
プロジェクトがテンプレートから作成された場合、テンプレートの名前で始まる全てのファイルとディレクトリーは、拡張子部分を除いて、新規プロジェクトのファイル名で名前を置換されます。
メタデータは1個の必須ファイルからなり、オプション・ファイルを含んでいることもあります。全てのファイルはユーザーがテキスト・エディターを使うか既存の KiCad プロジェクト・ファイルから作成する必要があり、要求されたディレクトリー構造どおりに配置されなければなりません。
ここで例として表示するのは、 raspberrypi-gpio テンプレート用のプロジェクト・ファイルです:
そしてこれは、メタデータ・ファイルです:
必須ファイル:
meta/info.html |
HTML フォーマットで書かれたテンプレートについての情報。 |
<title> タグは、ユーザーがテンプレートを選択する時に表示される実際のテンプレートの名前を決定します。プロジェクトのテンプレート名が長すぎると短縮されることに注意して下さい。フォントのカーニングにより、通常は7もしくは8文字表示となります。
HTML を使用することで、新しい書式を作ることなく簡単に画像を行間に挿入できます。このドキュメントでは基本的な HTML タグのみ使用できます。
これは info.html ファイルのサンプルです:
<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Transitional//EN">
<HTML>
<HEAD>
<META HTTP-EQUIV="CONTENT-TYPE" CONTENT="text/html;
charset=windows-1252">
<TITLE>Raspberry Pi - Expansion Board</TITLE>
</HEAD>
<BODY LANG="fr-FR" DIR="LTR">
<P>This project template is the basis of an expansion board for the
<A HREF="http://www.raspberrypi.org/" TARGET="blank">Raspberry Pi $25
ARM board.</A> <BR><BR>This base project includes a PCB edge defined
as the same size as the Raspberry-Pi PCB with the connectors placed
correctly to align the two boards. All IO present on the Raspberry-Pi
board is connected to the project through the 0.1" expansion
headers. <BR><BR>The board outline looks like the following:
</P>
<P><IMG SRC="brd.png" NAME="brd" ALIGN=BOTTOM WIDTH=680 HEIGHT=378
BORDER=0><BR><BR><BR><BR>
</P>
<P>(c)2012 Brian Sidebotham<BR>(c)2012 KiCad Developers</P>
</BODY>
</HTML>
オプショナル・ファイル:
meta/icon.png |
64 x 64 ピクセルの PNG アイコン・ファイル。 テンプレート選択ダイアログでクリック可能なアイコンとして使用されます。 |
上のダイアログにおける基板ファイルの画像のような meta/info.html で使われる他の画像ファイルは、同様にこのフォルダに置かれます。
バージョン4からバージョン5へのアップグレード
バージョン5の開発において、 旧バージョンの KiCad で作られたプロジェクトに影響を与えるような動作仕様上の変更がありました。このセクションは、KiCad バージョン5へアップグレードするにあたって、円滑に移行する方法を明記したものです。
回路図シンボル・ライブラリー
回路図シンボル・ライブラリーは、もうシンボル (バージョン4ではコンポーネントと呼称) 検索リストを使ってアクセスできません。シンボル・ライブラリーは、フットプリント・ライブラリー・テーブルと同様、シンボル・・ライブラリー・テーブルによって管理されるようになりました。この変更は大幅な改善ですが、いくつかの回路図はバージョン5に変換する時に人手による介入が必要になるでしょう。
以前のバージョンでは、Eeschema ファイルでシンボルを配置するとき、KiCad は検索にライブラリー・ファイルのリストを使っていました。シンボルを配置するときには、各パスが検索され、シンボル名を保持している最初のライブラリーが使われていました。
バージョン5から、KiCad はシンボル名にニックネームの接頭辞を持っており、 ニックネームとライブラリー・パスを一致させる検索テーブルがシンボルを保持しているライブラリーを配置するために使われます。このテーブルは"シンボル・ライブラリー・テーブル"と呼ばれ、ユーザーの KiCad 設定ディレクトリーと現在ロードされているプロジェクトのディレクトリーに保存された設定ファイルから構築されます。
KiCad プロジェクトをバージョン4からバージョン5へアップグレードするためには、全てのライブラリー・ファイルにニックネームを作成する必要があり、回路図のシンボル名は合致するニックネームの接頭辞を持つ必要があります。
グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブル
Eeschema バージョン5は最初の実行時にグローバル・シンボル・テーブルを自動的に作成します。このステップをスキップして、自分自身でグローバル・シンボル・テーブルを作ることもできます。これが必要なのは、KiCad のシンボル・ライブラリーを全く使わない場合のみです。もしくは、自動的に生成されたグローバル・シンボル・テーブルを変更する方がより簡単です。
シンボル・ライブラリー・リポジトリに追従させようとしても、KiCad 本体はデフォルトのグローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルになされた変更を自動的に追跡しません。グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルは自分自身で最新に保つ必要があります。 |
シンボル・ライブラリー・テーブルのマッピング
再マッピングされていない回路図が開かれる時は、常にシンボルの再マッピングが自動実行されます。最も効果的に再マッピングするには、事前にやっておくべき幾つかのステップがあります。
もし KiCad の開発版を使用しているなら、KiCad ライブラリーと共にインストールされたテンプレート・フォルダーから、あるいは、https://github.com/KiCad/kicad-library/blob/master/template/sym-lib-table[KiCad ライブラリー リポジトリ]から、KiCad ユーザー設定フォルダーへ完全なデフォルトのグローバル・シンボル・ライブラリー・テーブル・ファイル (sym-lib-table) をコピーします。 |
再マッピングされた回路図は旧バージョンの KiCad との互換性がありません。リマップ・シンボル・ダイアログは回路図ファイルのバックアップを実行するためのもので、もし自分自身で再マッピングをする場合は同じことをする必要があります。 |
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もし可能なら、システムに KiCad バージョン4をインストールしたままにしておいて下さい。さもなければ、KiCad と一緒に配布されたシンボル・ライブラリーを使用できなくなります。
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もし Eeschema バージョン4の開始時に欠落したライブラリーについての警告が出た場合には、回路図の再マッピングを試みる前に欠落したライブラリーを回路図にあるシンボルが含まれるように修正しなければなりません。さもなければ、正しいシンボルを見つけることができず、回路図にあるシンボルのリンクは壊れたままになってしまうでしょう。これは回路図にあるシンボルを右クリックしてテストすることができ、キャッシュされたライブラリーからロードされたシンボルではないことを確認できます。もしシンボルがキャッシュされたライブラリーからロードされていた場合、Eeschema はシステムまたはプロジェクトのシンボル・ライブラリーから部品を見つけることができません。もしキャッシュされた部品を別のプロジェクトで有効化する必要があるなら、システムまたはプロジェクトのシンボル・ライブラリー内にその部品を統合する必要があります。
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シンボルのリカバーが再マッピングのプロセス中に要求された場合、無視してはいけません。シンボル・リカバーの失敗は回路図中の壊れたシンボルのリンクや誤ってリンクされたシンボルの原因となります。
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再マッピングのプロセス中、グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルに見つからなかったシンボル・ライブラリーは、プロジェクト固有のシンボル・ライブラリー・テーブルを作るために使用されます。もし、お好みなら、グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルに手作業で移動させることもできます。
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最も正確に再マッピングするには、プロジェクトのキャッシュ・ファイル (project-name-cache.lib) をコピーして別ファイルとして作られたプロジェクト・ライブラリーをシンボル・ライブラリー・リストの先頭に追加します。これを実行するためには、シンボル・ライブラリー・テーブルが実装される以前のバージョンの KiCad を使用しなければなりません。
壊れた再マッピングの修正:
再マッピングで起きた問題の修正を試みるためのツールが提供されています。回路図でシンボル・ライブラリーのリンクが失われていた場合、"ツール→シンボル・ライブラリー・リファレンスを編集…" というメニュー項目を開き、”孤立したコンポーネントをマップ” ボタンをクリックすることで修正できます。
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再マッピング・サーチの順番
シンボルを再マッピングするとき、KiCad は以下のような順番でシンボルにライブラリーを割り当てます:
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グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブル: シンボルはグローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルへと優先的にマップされます。(もし存在していれば)
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プロジェクト固有ライブラリー: グローバル・シンボル・ライブラリー・テーブルにはない、プロジェクト・ライブラリー・リストにあるライブラリーが次に検索されます。
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プロジェクト・キャッシュ・ファイル: もしシンボルが上のリストにあるライブラリーに存在しなかった場合、初めてレスキューが実行されます。 — シンボルがこの新しいレスキュー・ライブラリーにマップされる前にキャッシュからコピーが作られ、proj-rescue.lib に置かれます —
シンボル名とシンボル・ライブラリー・ニックネームにおける制限
シンボル名に <SPACE>, ':', '/'
を含めることはできません。
ライブラリー・ニックネームに <SPACE>, ':'
を含めることはできません。
これらの文字を含む既存のシンボル名は、関連した回路図とライブラリー・ファイルを手作業で編集してリネームしなければなりません。
シンボル・キャッシュ・ライブラリーの有効性
キャッシュ・ライブラリーは、もはやシンボル・ライブラリー・ビューアやシンボル・ライブラリー・エディターで見ることができません。いかなる変更も次に回路図を保存すると上書きされるので、キャッシュを編集してはなりません。
基板ファイル・フォーマットの変更
基板ファイル・フォーマットに影響がある、いくつかの新しい機能が Pcbnew に追加されました。基板設計でこれらの新しい機能を使用することは、以前のバージョンの Pcbnew で開くときの障害となります。
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角を丸めた長方形のフットプリント・パッド
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カスタム形状のフットプリント・パッド
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4文字以上のフットプリント名
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単一レイヤー以上のキープアウト (禁止) ゾーン
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インチに代わって、ミリメートル単位で保存された 3D モデルのオフセット
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フットプリント・テキストのロック
グローバル・フットプリント・ライブラリー・テーブル
フットプリント・ライブラリー・リポジトリに追従させようとしても、KiCad 本体はデフォルトのグローバル・フットプリント・ライブラリー・テーブルになされた変更を自動的に追跡しません。グローバル・フットプリント・ライブラリー・テーブルは自分自身で最新に保つ必要があります。